改正点をふまえた時にどの選択が有利になるの?
全体感として改善された印象を受けます。
私見ですが繰り下げ受給(遅く受け取る)方が有利なのでは?と考えます。
2020年(令和2年)5月に年金法が改正され2022年4月から順次施行されます。
日本の大きな流れとしては少子高齢化が進んでいるので日本の年金制度である賦課方式(年金を貰う人の原資を働いている世代から徴収する方式)では無理が生じる部分がでてくる、これを今回の改正によって是正するという大きな流れを汲んでいる印象。
少し悪い言い方をすると年金の原資を取れるところから取っていこうという感じ、まあやむを得ないですね。
繰り下げ受給による金額増加
個人的に一番良いと思った点はココ、人によって感じ方は違うと思いますが。
悪い言い方をすると政府側からの「体が元気な間はなるべく働いて」というメッセージのようにも思えますね。
※厚生労働省のHPより引用
繰り下げ受給(遅くもらう)することで受給額が大きく増えます。この数字をふまえると71歳以降でもらうのがベターかな?と考えます。
良心的な気持ちで前向きに捉えると受給開始の年齢の幅が広がったことでライフプランに合わせて戦略的に考えることも可能になったと言えなくもない。
最遅の75歳で年金を受給した場合だと65歳で貰える金額の184%に増額、これは個人的にはものすごい改善と感じます。
自分のケースで「ねんきんネット」のシミュレーションでは現状の社会保険料の納付額の推移で65歳で貰える月額がざっくり152,000円ぐらい。
これに184%を乗じると279,680円(手取りだと22~23万円程度と推測)。
地方住まいでこの金額であれば(インフレしない前提で)十分暮らすのに問題ないレベルでしょうね。
ココの部分については人によって大きく考え方の差が出るところなので人生設計をふまえたうえで選択するべき、一度受給してしまうと年金額が確定してしまってその金額で最後まで継続されますから。
繰り上げ受給の額の増加
意外なところで繰り上げ受給の場合でも金額の減少率が柔らいでいます、この点も改善されたところ。
私はお金を仕事リタイアまでになるべく貯めて75歳までの生活に充てるという考え方。
同じように60歳前後まで同様にお金は貯めるけどいっその事、60歳から年金をもらうようにして生活費の足しにするという考え方もあるでしょう。
この部分については独身か2人以上世帯か?子供の有無などで選択するのに大きな影響を与えるのは間違いないので自分自身と家族のことを考えて決断するべきですね。
かなり大事な選択肢といえますからね(*’ω’*)
働きながらもらえる年金額の上限が変更
働きながらもらえる年金額、在職老齢年金の上限が上がりました。
要するに今までは働きながらも年金の受給は可能でしたが稼ぎすぎると、もらえる年金額が減ってしまうので働く頻度は調整していた人も多いと思います。
上限額が28万円⇒47万円に変更されたので多くの市井の人はフルで働きながら年金も受給できるので生活面としては豊かになれる可能性が高いといえます。
地方住まいの人だと殆どの人が大丈夫なんじゃないですかね、一方で取締役だとかある程度の地位の人は上限に引っ掛かるといったところでしょうか。
たとえ上限額の47万円を超えても毎年10月に年金額が調整されるようになり後々の年金額に乗せられるようですので払い損というリスクは減る模様。
この点は所得が増えた人から社会保険料を徴収しようという動きだと思われますので取れるところから取っていこうという考え方でしょうかね、今後はこういった動きは強くなる可能性は高いといえます。
厚生年金に加入しないといけない範囲が拡大
端的に言うとパートやアルバイトをしている人(学生は除く)が厚生年金の保険料を支払う必要が今後拡大しますよ、ということ。
手取りが減ってしまうので改悪と捉えてしまう人もいるでしょうが将来もらえる年金額が増える可能性でもあるので見解の相違といえる。
②88,000円以上/月の収入がある
③雇用期間が1年以上
④学生ではない
上記の人たちは厚生年金保険料を支払う必要があるわけです(要するに大企業で雇用されている人)。
それが2022年10月から100人規模の会社、2024年10月から50人規模の会社まで範囲が拡大されるようになります。
こちらも年金保険料を取れるところから取っていこうという事ですね。
少子高齢化が進む訳だから政府としてはなるべく多くの人に働いてもらって年金の原資を増やしたいという意図でしょう。
これは現状の年齢の人口配分を考えるとやむを得ない措置といえます。
確定拠出年金の加入年齢の引き上げ
確定拠出年金、いわゆる年金の3階建て部分の積み立てられる事ができる年齢が引き上げ。
iDeCoを65歳まで積立できるのは個人的には嬉しい、資産の増える確率が上がりますからね。
また企業型DC(企業型確定拠出年金)でも加入年齢の幅を広げるなどの措置がとられて少しでも年金原資が増えやすい環境を整えようという意思を感じます。
※厚生労働省のHPより引用
且つ、なるべく年金の支給遅らせたいという欲求があるのでしょうね。
受給を遅らせる事ができれば不幸なことに年金をもらう前に亡くなる人もいるでしょうし。
一方で長く保険料を納める事で多く年金をもらえたり、iDeCoなどであれば運用期間が長くなれば資産が増加する可能性が高くなるので考えようによっては悪くないといえます。
年金法の改正で制度の建付け部分が変わっているのだからその制度のルール内において自分が有利になるような措置を講じるのが何より建設的。
年金を遅らせてもらうデメリットの考察
私は繰り下げ受給で年金をもらう(繰り下げ受給)メリットを大きく感じていますがデメリットはどうか?と考えます。
②75歳になる前に亡くなる
上記2点がデメリットとして挙げられます。
どちらも正直如何ともしがたい(自分の力ではどうにもならない)デメリットだと考えているので繰り下げ受給で良いと考えているところでもあります。
日本国民は納税の義務を有しているので所得が増えた分、納税額が増えるのは嫌だけど仕方ない。
そして自分が亡くなるリスクも未来予知できる人間でない限り、考えてもしょうがないこと。
そもそも年金は保険。
保険は何か想定外の事象が起きた時の保証的な意味合いなわけなので「もらえないと損だ!」という考えはいささか違うのでは?と思いますね(気持ちはすげえ分かりますけど)。
長生きするリスクに備えるのが老齢基礎年金なわけです。
自分がリタイアした時のことを考える良いキッカケ
「私の場合」はリタイアしてから75歳までの生活資金を貯める事ができるだろうという前提の下で資産配分をしているので多少税金を取られても65歳の受給額の84%増しでもらう金額が魅力的と感じているだけ。
ここは当人のライフプランで変わると思うので一概には言えないし、あくまでも個人の人生の選択ですから。
ある程度資産を貯めておいたうえで60歳から貰ってしまうというのも今回の改正で働いた給与+年金受給額の上限が28万円⇒47万円に変更ルールがあるので人によってはそちらの方がベターという判断もあると思います。
たぶんその時の働いている給料額なども関係すると思います。
今すぐに決める必要のない事でもありますけど何となくでも自分のリタイア付近を想像しながら自分自身がどうしたいかを考えるのもなかなか楽しい作業かなと思います。
今後も改正される可能性
今後も人口構成比の変化に応じて法律が改正される可能性も十分にあるといえます。
ただ現時点でそんな分からないことを考えても意味がないし時間の無駄なので現在の自分の環境下でより良い選択をチョイスしながら行動するしかないですね。
年金がなくなる!?と言っている人もいますが現行の賦課方式である以上は破綻はあり得ないので気にせずに保険料の納付はするべきです、将来の自分を救うという気持ちで。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用も上手くいっていますし。
まとめ