iDeCo=自分で積み立てたお金で運用して年金として充てる制度。自分がもらえる年金に不安がある人はやるべき。
iDeCoって何?
iDeCoの正式名称は「個人型確定拠出年金」、噛み砕いて言うと自分年金作り制度。
年金はよく言う1階・2階・3階立てで構成されていてiDeCoはこの3階部分に相当。
要するに【国民年金+厚生年金】の上に更に上乗せする部分を自分で積立て作りましょう、という制度。
そしてこの3階部分の加入については任意、やりたければどうぞというスタンス。
自分で運用した分を1階・2階部分に上乗せして年金を受け取れる⇒単純に年金額が増える。
iDeCoを運用すると税金面での優遇措置があるので長期で行うと節税効果が大きい。
この2点がiDeCoのメリット。
導入された趣旨は?
繰り返しですが少子高齢化で現状の賦課方式の年金制度のままだと現役世代(若い人たち)の負担が大きくなるので若い世代も年金底上げするための制度が必要という意味合いで導入されたといえる、だから節税といった要素で若い人たちの負担を減らす制度設計なのでしょう。
加入できる人の条件は?
加入条件は以下の感じ。
年金制度の土台の1階部分も払っていない人は加入できないよってことですね、サラリーマンであれば強制的に徴収されますから多くの人は問題ないでしょうね。
自営業の人が未納付に気を付ける必要があるといったところ。
こういった企業に勤めている人は原則加入できません。
金額の上限は?
サラリーマン以外の人も当然、加入可能で以下の金額設定となっています。
職業 | 限度額(月額) |
公務員 | 12,000円 |
サラリーマン(企業年金あり) | 12,000円~20,000円 |
サラリーマン(企業年金なし) | 23,000円 |
専業主婦 | 23,000円 |
自営業 | 68,000円 |
厚生年金がなく国民年金しかない自営業の方は上限額がかなり高く年金の形成をしやすくなっているのが分かります。
何歳までに入るとお得か?
結論から言うと若ければ若いほど良い。
後述する節税のところで所得控除になるわけなので早く始めた方が積み重ねでお得。
iDeCoの大きなメリットは「節税」と「運用益の非課税」という2つの構造がすべて。
それらを分解して考察したものが以下。
iDeCoで積み立てた金額がその年の「所得控除」に⇒「所得控除」は年収の一部分に「税金が掛かりませんよ」という部分を作るという事。
課税対象の金額が減るので税金が安くなります、安くなる税金は所得税と住民税(市県民税)。
所得税は年末調整後の給与で還付されます、早いと12月の給与。
遅い人でも1月。会社の処理次第で変わります。
早く始めた方が将来積み重ねの金額が単純に大きくなるのでメリットは大きい。

例)年収500万円の人で課税率を仮に20%だとすると100万円を税金として差し引かれます。
iDeCoを行っている人は掛金は全額所得控除になるので2.3万円/月掛ければ27.6万円/年。
それが全額所得控除=「税金が掛からない部分」になります。472.4万円に対して20%が掛かるので税金の金額は94.5万円程度になるので約5.5万円がお得に。
年収が高い人の方が控除メリットは大きくなる傾向にありますが年収680万円ぐらいで節税額が82,800円で頭打ちになります。
とはいえメリットは十分あると思います。
節税額のシミュレーションは以下のサイトで確認可能。
自分年金作りの手助けという目的もあり運用益については非課税。
つみたてNISA同様で投資信託などの商品を選んで運用するという形、途中解約できないのがデメリットかな。
運用期間が60歳までなので早く始めれば運用期間が延びて運用益も安定する。
投資がどうしても嫌であれば定期預金の商品もあるのでそちらで節税メリットだけを得るということも(iDeCoは口座維持手数料が少額とはいえ掛かるので預金は得策とは思えないけど)。
株式系の指数の投資信託(インデックス)で20年以上積み立てると2~7%のリターン(運用益)になる可能性が高いのでこちらの方が自分の将来の年金額が大きく増える可能性は高い、将来のことは分からないので怖いと思う人はやらないか、もうちょっと勉強する方が良い。
仮に40年間掛けて配当再投資で複利運用したシミュレーションが以下。
若い人であればiDeCoだけの運用で「老後2,000万円問題」をクリアできる可能性も十分ある訳です。
運用期間が長い方が運用の成績も向上しますし安定しやすいという面もあるのでそういった文脈からも早く始めた方が有利という結論です。
デメリットは?
私が考える「iDeCo」のデメリットは以下の二つ。
結論から言うと年間:2,000円ぐらい(私が使っている楽天証券は)。
但し証券会社や金融機関で差があり現在の最安値は口座開設手数料:2,829円、月額手数料:171円の証券会社・金融機関。
SBI証券・楽天証券・松井証券・マネックス証券・auカブコム証券・イオン銀行などの有名どころは上記の最安金額。
ちなみに私の最寄りの地銀は月額手数料:459円。
459円-171円=288円×12ヶ月=3,456円/年×仮に30年=103,680円の差が発生…手数料って大事。
人によってiDeCoをオススメできない最大の理由はコレ。
iDeCoの掛金を設定してしまうと原則解約ができないので人によってはお金のやりくりが辛くなる可能性があります。
制度の目的があくまで「自分年金作りのツール」なのでしょうがない気もします。
子供さんが居て学費等でまとまったお金が必要、近い将来に具体的な出費が決まっている場合はオススメできないです。
年に一度だけ、11月~12月に金額の変更は可能。
なのでそこで最低額の5,000円に減額する等で乗り切れれば良いですが、どうにもお金が工面できないという事態になる人であれば向いてないといえます。
最悪、積み立ての停止措置を書類で申し込む事により積み立て事態を一時ストップする事はできますが積み立てたお金を引き出す事はできないので自分の今後のライフプランを具体的に考える必要はあります。
iDeCoを始める時はある程度、近い将来を見据える必要があります。
また違った目線でのデメリットとしてiDeCoは一度設定すると60歳まである意味資金凍結の色合いがあるのでFIRE(Financial Independece Retire Early/経済的独立による早期退職)を狙っている人にすると資産の足かせになるかもしれません。
そういった人はそもそもお金がある前提だからあまり影響ないかもしれませんけどね。
私も”途中解約ができない”という部分で始める時に迷いました。
私の場合は独身である程度まとまったお金があったという理由でiDeCoの運用を決めました。
運用を行っての資産作りも大事ですが一番優先するのは足元の生活。
運用を始めた事で自分や家族に我慢をさせるような事は良くないので自身の環境を鑑みてiDeCoの運用の是非を決めるべきです。
証券会社・金融機関はどこが良い?
迷わずにネット証券がベスト、iDeCo以外の投資をするうえでも取扱い商品の数が全然違う。
楽天証券・SBI証券・マネックス証券・auカブコム証券・松井証券、銀行だと三井住友銀行・みずほ銀行・ソニー銀行・イオン銀行などのメジャーなところで始めれば問題ないです。
複数口座開設してみて使いやすいところを使えば良いです。
口座開設って何をすればいい?
証券会社で申し込み方に多少の差はあるでしょうが基本的には証券会社のサイト内の「iDeCo」の開設指示に従って必要事項を記入するという流れ。
サイト上で入力が完了すると後日、郵送でJIS&T(日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株)から郵便物が届いて楽天証券の口座と連携させる作業を行う…といった感じ。
郵送されたものにIDなど記入事項が記されているのでそれを順に入力していくだけです、サラリーマンの方はお勤めの会社に事業主証明書を書いてもらう必要があります。
簡単に言うとサラリーマンの方が「iDeCo」を始めるとなると事業主(お勤めの会社)は協力する義務が生じ毎年1回資格要件を満たしている書類を出す必要が発生するという仕組み。
事業主証明書は年末調整の控除に密接に関連する項目なので会社の経理担当者にに記入してもらう必要があります。
雰囲気難しそうですが必要事項記入したりハンコ押したり会社で書類書いてもらったり単体の作業は特に難しくないです。
転職や職を失った時は?
iDeCoを運用している証券会社の指示に従って勤務先と手続きを進める事になるので注意が必要。
手続きを忘れると引き落としが停止される場合があるよう。
転職先に企業型年金があるとiDeCoの金額上限が変わる恐れもあるので確認は必要。
転職先から「移換手続き」「加入者資格の喪失手続き」「個人型年金の加入者資格の喪失に係る証明書」等の書類を入手して証券会社へ提出するのが主な流れ。
銘柄はどう選べばいいの?
iDeCoを始める目的が自分の年金額を増やす、ということなので株式系のインデックスファンドでやるべき。
株式であれば世界経済が成長することによる値上がりが期待できるのでお金を増やせる確率が高い。
迷ったら「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を買っておけば良いと思っています。
金額はいくらで設定するといい?
結論から言うと「iDeCo」を始めたなら限度額まで。
理由は「節税」と「運用」の面でも金額が大きい方が効果も大きくなるから、私の場合23,000円/月の上限額まで掛けています。これで年間の節税額が82,800円です。
一方で原則解約不可能という性質上、月の絶対的な固定費となるのが負担と感じる人もいるでしょう。
勿論現状の生活を崩してまでMAXでやる必要はないし、生活が大事ですから無理してまでやっちゃあいけないです。
ただ自分の資産を作るという意味では最大効果を狙うべき。
配分変更とスイッチング(買い換え)
iDeCoを運用していて投資銘柄の構成比率を変えたい時もあると思います。
こういった時は配分変更で例えば【株式割合:100%】 ⇒ 【株式割合:60%&債券割合:40%】に変更したい場合は手続き後から購入比率が変更され運用が継続される形に。
投資信託Aから投資信託Bに変更する場合は手続き後、投資信託Aを全て売却⇒代金受け渡しと同時に投資信託Bをその代金で購入するという形。
また株式で運用していたけども思わぬ含み益で利益を確定してしまって債券に乗り換えたい、等という状況もあると思います。
そんな時はスイッチングという作業で運用している銘柄を売却して他銘柄に変更する事が可能。
売却した際に売却手数料(信託財産留保額)が掛かるので頻繁に行うと資産形成の妨げになるので注意が必要。
普通に面倒くさいので選択した銘柄は極力変えずに、それでもポートフォリオを変更したい場合はiDeCo口座ではなく一般および特定口座で他の商品を買ってバランスを取った方が手間は圧倒的に少ない。
年金としての受け取り方は?
「iDeCo」の運用をして60歳になり受給資格を得た時にどの受け取り方法を選択するかで課税される税金に差が出るのでココは重要。
iDeCoで運用したお金を60歳になった時に【一括で受け取る】 or 【年金として分割で受け取る】場合、どちらがお得? 退職金がない人は【一括でもらう】がお得。会社の退職金がある人はiDeCoを「一括でもら[…]
結論から言うと「一時金」という形で一括受け取りした方が多くの場合において有利。
ただ退職金があるorない、早期退職するのか?70歳まで働くのか?などの条件で受け取り方法の最適解が大きく変わるので要注意、知らないとゴッソリ税金を持って行かれる恐れがあって最後の最後で税金を持っていかれると何のためのiDeCoだったのか…ということになり得ます。
まとめ
【節税面】iDeCoの掛金は所得控除に⇒所得税と住民税が安くなる。
【運用面】投資信託で運用した利益が非課税に。
途中解約が不可能なので始める時は計画的に。
最終的に受け取る時は一括で貰った方が退職所得控除扱いのため税金額はとても少ない。